美容業界におけるスタートアップのまとめと参入できそうな領域
にーはお。
カリスマ美容師が登場してから、注目を浴びている美容業界ですが、スタートアップの参入余地はどのような分野にあるのでしょうか?
目次
- 美容業界市場
- インスタを使った女子大生の美容室の探し方
- 消費者のニーズに応えるスタートアップ
- 人・モノ・カネの流通をハックするスタートアップ
- まとめ
美容業界市場
美容業界はすでに飽和状態。
2004年度から2010年度の美容室と理容室の事業所の推移を見ると、美容室は21.3万から22.3万と微増し、理容室は13.9万から13万へと微減しています。
とはいえ、美容市場は1兆5,285億円もの規模があります。
インスタを使った女子大生の美容室の探し方
現役女子大生と話す機会があってお話を聞いてみました。彼女の属性は、田舎出身、有名私大卒業予定、IT上場企業内定、普段使うアプリはTwitterやSwarm。
- インスタで「ヘアサロン」「美容室」と検索する。
- Twitterでも検索するけど、芸能人が使うようなお店が多くて、価格も2~2.5万円で少しお高いそう。
- 大手はやはり安心感があるらしく、迷った時には行くことも多いとか。ちなみにその子が上げてくれたのは「air、k-two、ZACC」
- ホット・ペーパー・ビューティーも使っていただけど、インスタが流行ってからはインスタ。
(ヘアサロンの検索結果)
(スタイリストのポートフォリオ)
(スタイリストのアカウント)
強調していたのは、本当の口コミなので信頼できるということ。新作の化粧品が出た時もインスタを使って検索するようです。
消費者のニーズに応えるスタートアップ
美容室を使う消費者のニーズから生まれそうなスタートアップを考えてみます。
急遽暇になったので仕事終わりに行きたい
美容サロンの当日・直前予約アプリpopcorn
せっかくなので東京育ちの青学女子大生に聞いてみたところ、以下のように答えてくれました。
いまから美容院いきたい!っておもったとき、いま空いてる美容院を可視化してくれるサービスがあんまない。ホットペッパーとか、空きの管理めちゃくちゃ。電話毎回して空いてるか聞かないといけない。楽天ビューティーはわりといい。すぐ予約できるとこを表示してくれる。
家から出るのがめんどくさいので、家に来て欲しい
美容師を好きな場所に呼べるstylisted
ヘアスタイルに関する知識を身につけたい
ヘアスタイリストの知見を講座形式で紹介し、そのヘアスタイリストが所属するヘアサロンへ直接予約ができるKamimado
いきなり美容室に行くんじゃなくて、自分が希望するヘアスタイルが得意な美容師さんを見つけたい
美容師が自分が手がけたヘアスタイルをスナップするSNS「HAIR」
まずはカットモデルとして試してみたい
見習い美容師(もしくはアシスタント)と、練習のためのカットモデルを結びつけるhairmo(ヘアモ)
この手のスタートアップはまだ成功している事例は生まれていないが、ほとんどの領域ですでに生まれています。
しかし食べログのような美容界のインターネット・プレーヤーが生まれるかどうかは疑問です。
- お店ではなく人への評価
- ご飯は食べないと分からないが、ヘアスタイルは見ればわかるので、口コミがなくとも美容師が自分で発信するインスタを見ればわかる。
- ご飯のパターンは無数にあるが、ヘアスタイルは限りがある
など、そもそも商材の性質として、広告と相性が悪いように思います。
広告=消費者の選択とは別の視点から、スタートアップの可能性を考えてみます。
人・モノ・カネの流通をハックするスタートアップ
消費者のニーズではなく、美容業界を回る人・モノ・カネの可能性はどうでしょう。
美容師の数は45万前後で、事業者の中で個人経営が70%を占めていることから、B向けのツールや商品は相性がいいはず。稟議書なども必要ないのでインターネットで気軽に購入できるはずです。
予約管理などのツール
様々なシステムの機能を統合した、バックオフィス業務管理プラットフォームを提供するMOBB
美容師貸し出しアプリ(未リサーチ)
アプリで簡単に美容師を探すことができる。休日など混んでいて人手が足りないときに重宝されそう。
業務用品のECサイトorプラットフォーム(未リサーチ)
シャンプやワックスなどの業務用品に特化したEC。
もしくは販売者と店舗を結ぶプラットフォーム。プラットフォーム上で販売者は企業アカウントを持つことができ、課金額に応じてDMを送ることができる。
美容師にヒアリングすれば不満や改善点などはもっと出てきそう。
まとめ
美容業界の今後を占うと、
こちら→オーバーストア化が止まらないヘアサロン業界の切り札とは | 覆面調査(ミステリーショッパー)の株式会社MS&Consultingの記事で書かれている通り、
顧客の需要は減少するが、新規店舗が増加する状況が続いています。
世間的にはカリスマ美容師がよく取り上げられていますが、大手による戦略的な店舗展開とネイルサロンなど複合的な美容サービスを行う店舗が増え、個人事業主の淘汰が加速するでしょう。
そうなると消費者の意思決定のニーズの多様性から生まれたスタートアップにとっては好ましくない状況が起こります。
大手による均一的なサービスの提供は、インターネットを必要としますが、プラットフォームは必要としません。
家の周りに、「ビューティー大地」しかないような状況ならインターネットがあっても仕方ありません。
となると、消費者向けのインターネットサービスよりは、事業者の困ったを解消できるサービス(もちろんハードルは高いですが)はニーズがあるでしょう。
ざいじえん。